スーパーフォト(光治療)
スーパーフォト(光治療)の原理
Intense Pulsed Light(IPL)は、単一波長であるレーザー光とは異なり、フラッシュランプより発するmulti-spectrumの光から有害な紫外線領域の波長を遮った後に得られる512~1200nmの非可干渉性波長域の光です。この光をさらに様々なピーク波長を作り出すフィルターに通過させて、様々な広帯域波長光を照射できます。
作用機序は、選択したフィルターの広帯域波長光による光加熱融解理論に基づく作用(メラニンや酸化ヘモグロビンを熱破壊)と、真皮層への熱エネルギー伝達による微細熱損傷形成(コラーゲンの増生、再構築の促進)が考えられています。また、接触型冷却システムの併用により表皮の損傷はほとんどありません。
特に、IPLを顔面全体に照射すると、この広帯域波長光が様々な光老化に対して下記に示す疾患に有効であることが確認されています。すなわち、非侵襲的に皮膚の総合的な若返り(Photo-rejuvenation)を図ることができます。既に多数の臨床研究が報告されていますが、IPLの詳細な機序についての基礎研究は未解明のことが多く、今後の課題となっています。
長所
広範囲を短時間に照射できます。
様々な広帯域波長光を照射できるため、幅広い治療効果が期待できます。
レーザー治療に比較して疼痛が少なく、炎症や色素沈着が軽度です。
短所
複数回の治療が必要です。
治療前後の遮光が必要です。
スーパーフォト(光治療)の治療の流れ
診察
化粧を落として治療する皮膚の状態を診察し、施術スケジュールを相談して決めます。
通常、十分に満足のいく効果を得るには、3週間間隔で5回照射が目安です。必要に応じて、再度1クール(5回)施行したり、部分的にレーザー等の他の治療を追加したりすることがあります。
施術前
治療4週間前より、過度な直射日光を浴びないように注意して下さい。また、治療前後1週間は、皮膚の角質を剥がすような外用薬(ケミカルピーリング、レチノイン酸、グリコール酸配合ホームケア用品など)等を中止して下さい。施術前日・当日には顔の剃毛や脱毛、あるいはパックやスクラブ剤の使用は中止し、軽めのお化粧で来院して下さい。
洗顔
化粧を完全に落として十分な洗顔をして下さい。
施術
眼をアイマスクで保護した後、照射を開始します。必要に応じて照射部位のみ照射するための保護シートを貼付します。照射時には軽い熱感がありますが、自制範囲内です。疾患や照射範囲によって異なりますが、所要時間は平均10分前後です。照射直後は軽度発赤と灼熱感を伴う軽い疼痛があるので、照射部位をアイスノンなどで冷却すると疼痛を軽減できます。
美肌目的の治療では、施術後通常どおりの洗顔・お化粧が可能で、日常生活に制限はありません。メイクをされないでお帰りになる方も遮光クリーム(紫外線非吸収剤製品)は必ず塗布して下さい。
しみ・そばかす・毛細血管拡張症・にきび・脱毛などの治療では、施術後、照射部位の乾燥予防と炎症を抑えるために、抗生剤含有ステロイド軟膏を塗布します。照射部位以外は通常どおりの洗顔・お化粧が可能です。
施術後
照射後3~5日は一時的に照射部位の色調が濃くなって痂皮(かさぶた)状態になり、1週間前後に徐々に剥がれ落ちてきます。これは通常の治癒過程ですのでご安心下さい。効果は2~3週間前後頃より現れてきますが、個人差があります。
翌日まで軽い日焼けしたような状態が続くことがあります。(場合によっては3日間持続する場合もあります。)稀に、発赤・掻痒感・小水疱などが生じる場合があります。皮膚の状態に応じて、必要な外用薬を処方しますので、指示どおりに塗って下さい。
施術後は日焼けをしないようご注意し、遮光クリーム(紫外線非吸収剤製品;SPF20~30、PA+~++)を使用して下さい。
注意:IPLによる脱毛は厳密には永久脱毛ではなく、複数回の照射で毛が細く、薄くなっていくとお考え下さい。